Tax Alert

豪州過少資本税制における第三者債務テスト (TPDT):ATO最終通達TR 2025/2およびPCG 2025/2の要点

豪州過少資本税制における第三者債務テスト (TPDT):ATO最終通達TR 2025/2およびPCG 2025/2の要点
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  • 17 Oct 2025

本件は、ATOが公表した最終ガイダンスTR 2025/2および実務コンプライアンスガイドPCG 2025/2(特にスケジュール3)に関する主要論点を整理したものです。新ルール下でのTPDTに係る「リコース(求償)条件」および「資金用途条件」の解釈が中心で、実務影響とリストラクチャーに関するコンプライアンス・アプローチが拡充されています。

本アラートは、2025年10月3日に発行されたTax alertの日本語要約です。 

1. 全体観と実務影響

ATOはドラフト段階の主要見解を概ね維持しました。特に、外国資産の「軽微・重要でない(minor or insignificant)」除外を極めて限定的に解釈し、実質的に名目的価値に限るとする点が重要です。これにより、外国資産を一定程度保有する借手は、たとえ当該資産が借入条件や債務額に影響せず、資金が豪州事業にのみ用いられていても、リストラクチャーなしにはTPDTの適用が困難となる可能性があります。豪州親会社の多国籍グループが典型的な影響対象です。

また、「配当や資本還元」は豪州に関連する商業活動に当たらないとするATOの解釈が維持されました。これは、TPDTを選択した納税者にとって、実質的に債務控除創設ルール(DDCR)に類する制約が持ち込まれる効果を生み、インフラ・不動産分野における負債による配当・リギアの一般的実務に大きな影響を与えます。他方で、第三者債務で資金手当てされた信託分配について、2027年1月1日までの返済を認めるコンプライアンス・アプローチがPCGに導入されました。 

2. リコース条件の解釈(TR 2025/2)

リコース条件は、債権者の支払回収可能資産の範囲を問うもので、担保の有無とは同義ではありません。外国資産の軽微・名目的価値のみを除外とする狭い解釈が維持され、信用補完(クレジットサポート)権限は原則として軽微・重要でない (minor or insignificant) とは評価されにくいとされます。 

「豪州資産」の判断枠組みとして、豪州での実体的使用・便益享受、豪州法制との結びつき、豪州源泉所得への寄与等の要素が示されました。無形資産や持分(membership interests)に関する具体的指針が追加され、とりわけ豪州法人が豪州・外国資産を併有する場合、その持分が豪州資産と認められるのは、基礎となる外国資産が軽微・重要でない範囲に限られるとの立場です。さらに、借手自身の持分について、借手が直接・間接に外国資産に関与する(たとえ軽微でも)なら、当該持分へのリコースは許容されないとする例示が追加されました。他方、借手以外の豪州オブリガーの持分に対するリコースは、軽微な外国資産を間接保有していても許容され得ると読める取り扱いが示唆されています。 

3. 資金用途条件の解釈(TR 2025/2)

資金用途は、債務存続期間を通じ継続的にテストされ、「ほぼ全て(nearly all)」を豪州関連の商業活動に用いることが求められると解されます。事業運営上の活動や、豪州商業活動に用いられた債務のリファイナンスは含まれる一方、配当・資本還元への充当は含まれないとの見解が維持されました。この解釈は、従来のアームズレングス債務テストと同義に読むことを退けるもので、既存の資本やリギア戦略に実務上の制約をもたらします。

4. ヘッジ費用・コンデュイト・ファイナンス

TPDT下で、利子リスク管理に係る一定のヘッジ関連支出は債務利子に帰属し得ますが、関連者への支払いに係るものは原則不許容です。外部スワップを関連者へバック・トゥ・バックでパススルーするスキームは、当該関連者間スワップの支出がTPDT上不許容となる点が再確認されました。PCGスケジュール3は、バック・トゥ・バックを解消し、ヘッジ費用を社内貸付条件に織り込むリストラクチャーへの実務的アプローチを示しますが、経済実態は維持しつつも再交渉・再設計のコストを伴います。

5. PCG 2025/2(スケジュール3)のコンプライアンス・アプローチ

スケジュール3は、自己評価型のリスク評価ではなく、TPDTに整合するためのリストラクチャーを前提に、当該リストラクチャー前期間についても要件充足として取り扱うターゲット型アプローチを提示します。一定の要件充足を前提に、2027年1月1日までリストラクチャー期間が延長されています。これにより、初年度に固定比率テストを選択した納税者でも、スケジュール3の例示や期限延長を踏まえ、当該年度のTPDT選択へ変更を求める実務が想定されます。その場合、期限延長や既選択の撤回について、ATOの承認が必要です。

6. 実務上の見通し

TPDTは本来、豪州事業に関連する真正な商取引を包摂することを目指したものの、ATOの解釈は、外国資産の少額保有や資本戦略上の一般的手法に対して、リストラクチャーなしには適用が困難となる側面を残しています。PCGによる救済は有用ですが、リストラクチャーのコスト・交渉負担は少なくありません。2026年2月1日までに開始される制度導入後レビューにおいて、真正な金融取引への過度な制限や投資環境への影響が検証されることが期待されます。 

※本アラートは、PwC Australiaが発行したTax alertを抄訳したものです。訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。


David Earl

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