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オーストラリアにおけるBTR(Build-to-Rent)– 進展する状況

オーストラリアにおけるBTR(Build-to-Rent)–  進展する状況
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  • 07 Jul 2025

本記事は2024年12月13日に弊社より発行されたTax Alertのレポートの一部を抄訳したものです。本抄訳発行時点までに行われた改正やアップデートの影響により記載の内容に変更がある可能性がありますが、本抄訳は当該税制の理解を目的として作成したものとなっております。訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。 

本制度の詳細およびその後の改正等につきましては、以下の担当までお問い合わせください。

概要

オーストラリアにおける住宅価格高騰の影響はかつてないほど深刻化しており、Build-to-Rent(BTR)セクターを対象とした様々な税制措置が最近導入されました。これらの措置には、BTRへの投資家に対する所得税、印紙税、土地税の優遇措置が含まれており、BTRプロジェクトにおける投資家へのリターンを、オフィス、小売、工業といった従来の商業用不動産資産クラスと同等にすることを明確な目的とした改正内容になっているものと考えられます。BTRは、交通機関や戦略的拠点に近い立地において、大規模な住宅開発と良好な交通アクセスを備えたコミュニティの構築を可能にし、個人や家族が繁栄するための素晴らしい機会を提供します。BTRは住宅価格高騰に対する完全な解決策ではないかもしれませんが、オーストラリアの人々が、BTR以外では実現できない場所に居住することを可能にします。オーストラリアでは生活費の高騰が懸念され、オーストラリアの人々の夢である不動産所有の実現がますます困難になっているため、私たちは引き続き、この分野の成長を支援するための連邦政府および州政府による投資とインセンティブを奨励しています。BTR投資環境の強化および進化が継続されることで、BTRの成長がオーストラリア経済にもたらす恩恵は明らかであると考えられます。住宅危機と生活費の高騰により、BTRセクターの成長が現在および将来の世代に住宅を提供する鍵となることは否定できないものとなっています。本レポートでは、法人所得税、土地税、外国人サーチャージの各種改正の影響について考察し、オーストラリア政府と投資家に対し、オーストラリアにおける住宅価格の高騰と生活費の負担軽減に向けた重要な解決策の一つとして、BTRに関する議論を継続するよう促しています。過去12ヶ月にわたる州政府および連邦政府レベルでの改革のスピードが、BTRセクターおよび関連する資産クラス(co-livingなど)への投資分野において依然として残る商業的障壁を今後も継続して解消されることを期待しています。今後の動向にご注目ください。 

連邦税

MIT源泉税および資本控除の改正  

オーストラリアの住宅危機に対応し、この分野への投資を奨励するために、新しい法律では、建設コストに対する税務上の加速償却を規定し、対象となる BTR 投資に関するManaged Investment Trust (MIT)源泉徴収税率を軽減します。

要点: 
  • 2024年7月1日より、対象となるBTR開発事業について、適格なMIT投資からの賃貸収入およびキャピタルゲインの分配に対して15%の優遇源泉税率が適用されます。この税率は、MIT制度における優遇税率が適用される他の資産クラスの取扱いと整合しています(ただし、BTR投資にのみ適用される条件があります)。現行のMIT源泉税のルールに従い、この優遇税率は情報交換(EOI)規定の対象国の居住者のみに適用されます。 
  • BTR 開発が適格基準を満たしている場合に限り、15% に軽減された MITの 最終源泉徴収税率は、15 年間のコンプライアンス期間を超えて引き続き適用することができます。   
  • 提出された当初の法案には、連鎖する複数のトラストを通じて保有される資産に関連する所得と利益について15% の源泉徴収税率を適用することを認めるなど、いくつかの注目すべき変更が加えられました。   
  • 資本的支出の控除率は年間2.5%から4%に増加します。 
  • 2023年5月以前に着工された既存のBTR開発は、MITの15%軽減税率の対象となります。ただし、これらの開発は資本的支出控除率の増加の対象にはなりません。   
  • 改正法により、賃貸借期間の要件は当初の3年から延長され、最低5年とすることが求められます。ただし、借主はより短い賃貸借期間を要求する選択肢があります。 
  • The Capital Works(Build to Rent Misuse Tax)Act 2024法は、BTR開発が不適格であることにより税制優遇措置が不当に申請された場合に不正使用税(Misuse Tax)を課し、実質的に優遇措置を取消すことを規定しています。この不正使用税は、15年間のBTRコンプライアンス期間中の不遵守に対してのみ適用されます。不正使用税は、不遵守時の開発所有者にのみ適用されます。   
  • 住居の最低10%を手頃な価格帯にする必要があるという要件は依然として残っていますが、将来の規制により、中間所得者層もこれらの住宅を賃貸できるようになると考えられます。これらの規制の範囲はまだ不明ですが、手頃な価格帯のユニットをCommunity Housing Provider(CHP)が運営するという要件が含まれることが予想されており、一部のBTRオーナーが独自のCHPを設立するきっかけとなる可能性があります。

新しい法律では、適格な BTR 開発とは、以下の基準を満たすものを指します。 

  1. 一般の人々が入居できる 50 戸以上のアパート/住居で構成されること。BTR 開発は、建物全体、建物の一部、または複数の建物とすることができる。 
  2. BTR 開発における住居は、少なくとも 5 年のリース期間で賃貸可能でなければならない(ただし、借主はより短い期間を要求することができる)。 
  3. 開発されるすべての住居(および BTR 開発の一部である共用エリア)は、少なくとも 15 年間連続して、”single entity”によって直接保有され続ける必要がある(ただし、BTR 開発はその期間中に別の”single entity”に売却することができ、その場合も引き続き優遇措置の対象となる)。 
  4. 住居の少なくとも 10% は、家賃が少なくとも 25.1% 割引され、資格のある入居者(つまり、一定の収入基準を満たす入居者)に提供される、手頃な賃貸住居として賃貸可能でなければならない。 
  5. 住居は商業用住居であってはならない。 
  6. 手頃な価格の住居の種類ごとに、少なくとも同数の、同等の手頃な価格ではないBTR住居が提供されなければならない。少なくとも1つの手頃な価格の住居は、その市場相場のBTR住居と同等の広さと設備を備えていなければならない。 

これらの基準は、すべての利害関係者のニーズと、すべての人々に長期的かつ安定した住居を提供するという根本的な目標とのバランスをとるという政府の意図を示したものと考えられます。基準1と2は、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州のBTRプロジェクトに適用される土地税および印紙税の軽減措置を受けるための要件と概ね一致しています。   

BTR 開発が適格基準を満たしている限り、15% に軽減された MIT の最終源泉徴収税率は、15 年間のコンプライアンス期間を超えて引き続き適用することができます。 

BTR 開発に参加する事業体には特別な報告方式が適用され、特定のトリガーイベントが税務当局に通知され、必要に応じて情報が提供される必要があります。 

過少資本税制   

2024年4月、the Treasury Laws Amendment(Making Multinationals Pay Their Fair Share - Integrity and Transparency)Act 2024(Cth)が成立し、新たな利息制限制度が導入されました。この新制度には、新たな過少資本テストと、特定の目的に使用された関連者債務に関する債務控除を制限する債務控除創設ルールが含まれます。   

これらの規則は、2023年7月1日以降に開始する所得年度に適用されますが、債務控除創出ルールについては1年遅れて適用が開始されています。この制度では、利息制限のための3つの新しい過少資本テスト(固定比率テスト(デフォルトのテスト)、グループ比率テスト、第三者債務テスト)が導入されており、それぞれに特有の特徴と条件があります。 

一般論として、不動産業界(BTRを含む)の投資家にとって、納税者が第三者債務テストを利用できない場合には、特にBTRプロジェクトの建設初期段階においては、固定比率テストに基づき、特定の年度における相当額の債務控除が否認される可能性があります。これらの否認された控除額は15年間繰り越される可能性がありますが、オーストラリアのBTRプロジェクトへの投資を検討している納税者は、これらの規則が及ぼす潜在的な影響をプロジェクトごとに考慮する必要があり、各投資のIRR(内部収益率)にネガティブな影響を与える可能性があります。  

詳細については、過少資本税制に関するTax Alertもご覧ください。 

物品サービス税(GST)    

BTR業界への投資が直面する継続的な課題の一つは、現行のGST制度です。現在、BTRのデベロッパーは、BTR物件の開発に要した土地および建設コストについてGST控除を請求できません。一方、BTS(build to sell)開発の場合は、同様の控除が認められています。そのため、BTRデベロッパーがBTRプロジェクトに要した費用には、通常、回収不能な10%のGSTが発生します。   

MIT源泉徴収税率を引き下げる最近の改正(上記参照)にもかかわらず、BTRプロジェクトに対するGSTの取り扱いを他の資産クラスの取り扱いと整合させる動きは見られません。これは依然として、BTR投資における大きな障壁となっています。 

州税

州レベルでは、一般的に投資家が注目するコストは大きく分けて2種類あり、土地税と印紙税です。多くの州では、非居住者が取得または保有する土地に対して追加のサーチャージを課しており、外国人投資家とのBTRプロジェクトではこれを考慮に入れる必要があります。   

各州等における一般税率の印紙税、土地税、サーチャージ(上限値)の概要(2024 年 7 月 1 日現在)は以下のとおりです。 

  Stamp duty Land tax
  General rate Foreign purchaser surcharge General land tax rate Land tax surcharge
QLD 5.75% 8% 2.75% 3%
NSW 5.5%
(or up to 7%)1
8% (9% from 1 January 2025) 2%2 4% (5% from the 2025 land tax year)
VIC 6.5% 8% 2.65% 4%
SA 5.5% 7% 2.4% N/A however Trust Surcharge land tax may apply
WA 5.15% 7% 2.67% N/A
ACT 5% N/A 1.26% 0.75%
NT 5.95% N/A N/A N/A
TAS 4.5% 8% 1.5% 2%

1) NSW州の土地を直接取得する場合、印紙税の一般税率での最高税率は 7% になります (「プレミアム不動産税」が適用される場合)。   

2) 2% は、プレミアム閾値を超える高額物件に適用される税率です。 

近年、多くの州がBTRプロジェクトに対する税率の軽減措置を導入しています。以下の表は、各州において適用可能な様々な軽減措置を比較したものです(ただし、対象となる適格基準を満たし、申請が承認された場合に限ります)。現時点では、オーストラリアの他の州等では、BTRプロジェクトに適用できる土地税または外国人サーチャージの軽減措置は導入されていません。 

  Land tax relief or reduction Surcharge land tax relief Surcharge stamp duty relief
NSW
Post-construction only.
VIC
Post-construction only.

Specific BTR relief post-construction only however, general exemption for significant contribution to economy may be available during construction.

 

No specific BTR relief, however, general exemption for significant contribution to economy may be available where BTR development proposed/undertaken.

QLD
Post-construction only.

General exemption may be available during construction.

WA N/A (No surcharge applies). No specific BTR relief, however, residential development exemption may be available where criteria are met.
SA N/A (No surcharge applies). No specific BTR relief, however, significant development ex gratia relief may be available where criteria are met.

※本記事は2024年12月13日に弊社より発行されたTax Alertのレポートの一部を抄訳したものです。訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。 


David Earl

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