オーストラリアの税務当局 (ATO) は、2024年1月1日以降の報告期間に適用される国別(CBC)報告義務の一環として、新たなショートフォームのローカルファイル作成に関するガイダンスを更新しました。新たな要件は、移転価格の枠組みを超えて、税源浸食と利益移転(BEPS)関連の広範なトピックを含むように拡大されています。本改正に伴い、オーストラリアにおいてCBC報告義務の対象となる多国籍企業にとっては、重要なコンプライアンス報告要件が課されることになります。
本アラートは、2025年1月24日に発行されたTax alertの日本語版の要約が含まれています。
背景
ショートフォームのローカルファイルは、2016年発効の1997年所得税評価法のSubdivision 815-Eの一部として導入され、OECDのBEPS行動計画の行動13に関する勧告の実施を目的としていました。CBC報告義務のあるオーストラリアの納税者は、国別報告書、マスターファイル、およびローカルファイル(ショートフォーム、パートA、パートB)の3つの文書を毎年提出する必要があります。これらを期限内に提出しない場合、1つの文書につき最大AUD$825,000の罰金が科される可能性があります。
主な変更点
ATOの説明によると、新たなショートフォームのローカルファイルの要件は、税務リスクの高い国際的な税務ストラクチャリングおよび利益移転の仕組みを捕捉するための十分な情報を提供することが目的とされています。新たなショートフォームでは、ハイブリッドミスマッチの検証結果、控除可能性、源泉税の負債、キャピタルゲイン税、および租税回避防止措置等を含む詳細な開示が求められます。
報告要件
新たなショートフォームのローカルファイルは、以下の3つのセクションで構成されています:
1. 事業ラインと主要な競合他社
事業ラインまたは機能数の特定及びその説明
展開された戦略と他の事業ラインとの重複または補完に関する説明
2. 組織報告の取り決め
組織体制と海外の担当者への報告に関する開示
海外の担当者に報告する現地担当者の詳細
3. 無形資産を含む再構築または新たな取り決め
オーストラリアの事業体の所有権、居住地、事業体の分類、および関連当事者の運営等に関する変更を含む報告対象となる取り決め
各報告対象となる取り決めに関する詳細な開示、ステップの詳細、および税務上の影響 他
報告形式
新たなショートフォームのローカルファイルは、ATOが設定した特定のXML形式で作成および提出する必要があります。正しい形式でファイルを生成するためには、ソフトウェアが必要になります。
不遵守の結果
CBC報告義務を遵守しない場合、最大AUD$825,000の罰金が科される可能性があります。また、虚偽または誤解を招く文書は、1つの開示につき最大AUD$39,600の罰金が科される可能性があります。
他のオーストラリアの提出要件との相互作用
新たなショートフォームのローカルファイルとATOにより開示が求められる他の文書(例:国際取引明細書(IDS)や税務ポジション明細書(RTP)等)には重複する内容があります。ATOは当該重複を避けるため2025年のRTPスケジュールのインストラクションの改訂を実施する予定です。
納税者は、新たなショートフォームのローカルファイルを正確に完成させるために必要な努力を過小評価すべきではありません。主要な内部関係者と早期に連携を図り、すべての提出物の一貫性を確保することが重要です。12月決算の納税者にとっては、新たなフォーマットによる最初の提出日は2025年12月31日となります。
新たなショートフォームのローカルファイルの要件は、オーストラリアの多国籍企業にとって重要なコンプライアンス報告の変更を意味します。これらの新たな義務を効果的に満たすためには、すべての提出物にわたる連携したコンプライアンス戦略を持つことが重要です。
※本アラートは、PwC Australiaが発行したTax alertを抄訳したものです。訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
David Earl
Partner, Corporate Tax, PwC Australia
Trinh Hua
Partner, Deals Tax, PwC Australia
Hamish McElwee
Partner, Global Tax, PwC Australia
Nobu Terasaki
Partner, Corporate Tax, PwC Australia
Daisuke Ito
Manager, PwC Australia
Masashi Shinobu
Manager, Deals Tax, PwC Australia