Australia as an investment destination

進出先/投資先としてのオーストラリア 前書文

2018年の日本企業によるM&Aは、件数・金額ともに過去最高となりました。特に海外企業に対するM&A(In-out案件)は、前年比15.6%増の777件、金額は19兆円を上回りました。国別で見ると、米国が最も多く、その後シンガポール、英国などが続き、オーストラリアは7番目に多い国でした。

日本企業によるオーストラリア企業に対するM&Aは、近年大きく増加しています。豊富な天然資源を有するオーストラリアでは、従来、マーケティング・オフテイクを確保するためのM&Aが多く発表されていました。しかし、近年は日本国内の人口減少と高齢化を背景に多くの産業で国内市場が縮小する中、オーストラリアを消費マーケットとしてターゲットにしたM&Aや、地理的収益 源の多様性を求めるM&Aも多く発表されています。

「進出先/投資先としてのオーストラリア2018~PwC Australia~」は、多くの日本企業が進出/投資を検討する主たる15か国の中でのオーストラリアの位置づけをまとめています。この中でのオーストラリアに関する主なポイントは以下の通りです。

  • 史上最長26年連続での経済成長を記録(世界1位)
  • ビジネス環境ランキング:15か国中5位(世界18位)
  • 成人一人当たり資産(平均値)のランキング:15か国中1位(世界2位)
  • 上位中間層の比率:15か国中1位(世界1位)
  • 2050年までの人口増加率:15か国中2位
  • 政府の負債総額のGDP率は41%で格付AAA

豊富な天然資源・堅調な人口増加・格付けAAAの健全な国家財政・整備された金融市場などに支えられ、オーストラリアの設備投資・国内消費は総じて堅調に推i 移し、経済成長率は中国・インド・その他途上国の高い成長率を下回るものの、先進国の平均を上回っています。ビジネス環境ランキングでは、起業のしやすさ、資 金調達環境、契約執行などで評価が高く、途上国のみならずドイツ、フランス、日本などの他の多くの先進国よ りも上位に位置付けられています。

成人一人当たり資産の中央値については世界1位、平均値では世界2位となっています。投資対象国として25百万人という人口規模は大きいものとは言えないものの、全人口における上位中間層の比率は15か国中1位で、同層の成人人口規模はシンガポール・マレーシア・タイ・フィリピンなどを大きく上回り、購買層の多さと言う意味で非常に魅力的な消費市場であると言えます。日本とオーストラリアは極めて良好かつ強固なパートナ ーシップ関係にあり、日本からの投資は総じて好意的に受け入れられています。日豪通商協定は終戦からわずか12年後に締結され、日本は2009 年に中国に抜かれるまで40年以上もの期間オーストラリアにとって最大の輸出市場でした。また、2015年に締結された日豪 EPA は、日本が結んだ2国間の経済連携協定として最も大きな経済パートナーとの協定でした。オーストラリアへの直接投資については、長きに渡り米国・英国が第1位・第2位でしたが、2015年より日本が英国を抜いて第2位となっています(中国は第5位)。オーストラリアの安定した政治・経済情勢、地政学的リスクの低さ、インフラストラクチャーの充実度は極めて魅力 的と言えます。次期総選挙や加熱した不動産市況の先行きといった不安定要素があるものの、国としての魅力に加え、引き続き堅調な人口増加が予想されており、国の財政状況は比較的健全です。他国・他地域における先行きの不透明感が強まる結果、オーストラリアへの進出/投資という選択肢の魅力度が相対的に上昇し、今後も多くのM&Aが発表されると予想されます。いくつかの候補国を比較して進出先/投資先を検討する際に、「進出先/投資先としてのオーストラリア2018~PwC Australia~」が貴社の海外戦略の一助となれれば幸甚に思います。
 

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Toru Aikawa

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